【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
三【利害が一致した結婚】
「お母さん……あのね」
「ん? どうしたの、愛南?」
私はお母さんに、裕太さんと結婚することを伝える。
「私ね……私、結婚したい人がいるんだけど」
「え? 結婚したい人……?」
「うん」
私の結婚相手が裕太さんだと知ったら、お母さんはなんて思うのだろう。……多分だけど、反対しそうな気がする。
だって愛莉の結婚相手だった人と、私は結婚するんだもの。……喜んでもらえるはずが、ないよね。
「まさか愛南に、結婚したい人がいるなんて……。お母さん、驚いたわ」
「そうかな? 私だってもう、そんな年齢だし……」
と言いつつも、裕太さんの名前は出していいものなのかと、迷ってしまう。
「……そうね。愛南だって、結婚するんだものね」
「うん。……まあね」
私たちの結婚は、愛で結ばれたものではない。 ただお互いの利害が一致しただけの、結婚でしかない。
「所で愛南の結婚したい人って、誰なの?」
「……裕太さん」
「あら、裕太さんって言うの? 愛莉の結婚相手と、一緒なのね……?」
どうやらお母さんは、別の裕太さんと結婚するものだと思っているみたいだ。