【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
「……はい。裕太さん」
「じゃあ明日、予定通り婚姻届出しに行こう」
「はい」
そして翌日、私たちは二人一緒に役所に行き、婚姻届を提出した。
「おめでとうございます」
婚姻届は無事に処理され、私たち晴れて夫婦になった。
「……あの、裕太さん」
「何?愛南」
「これから……よろしくお願いします」
「よろしく、奥さん」
お、お、奥さん……。私はまだ裕太さんの妻になった、という実感がない。
夫婦になったというのに、夫婦になった実感ってこんなものなのか、と思ってしまった。
「私、裕太さんの妻になった……んだよね?」
「そうだ。俺は愛南、お前の夫だ」
裕太さんが私の夫……。全然実感がないな。
「裕太さんが、私の夫……」
「そうだ、夫だ。 今度から俺を誰かに紹介する時は、夫と呼べよ?」
そっか……。誰かに紹介する時は、裕太さんのことは夫と紹介するんだよね。
夫です、と紹介するのか……。なんか変な感じがするな。
「はい。分かってます」
「俺も誰かに紹介する時は、愛南のことを゙愛する妻゙だと紹介する」
「あ、愛する……妻」
は、恥ずかしいような、じゃないような……。