【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
四【美容師の妻とイラストレーターの夫】
「愛南、おはよう」
「おはようございます」
結婚してから数週間、私たちは夫婦としての道を歩んでいる。
「愛南、寝癖付いてる」
「えっ、ウソッ!?」
「ハハッ!冗談だよ」
朝からそんな冗談を言ってくる裕太さんに、私は度々驚かされている。
「もう、裕太さんってば……」
「愛南は面白いな、本当に」
「えぇ……面白いですか?」
裕太さんの言う面白いという言葉が、未だによく分からない。
「面白いよ、愛南は。愛莉も面白かったけど」
「……愛莉も?」
愛莉も面白かったって、なんだろう? 愛莉は可愛くて、とても暖かかったけど。
「そうだ。愛莉は本当に優しくて、いつも俺を笑わせてくれたりしたんだ」
「愛莉が……?」
「ああ。愛莉は面白いことが好きだったから」
確かに愛莉は、面白いことが好きだった。お笑い番組も好きで、よく見ていたし。
「大好きなお笑い番組を見て、愛莉はいつも笑ってました。 大好きな芸人さんが出てると、喜んで見てたなぁ」
「愛莉は本当に、面白いことが好きだったもんな」
愛莉が大好きな番組を、私は今でも録画してしまっている。