【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
「ありがとうございました」
「またお待ちしております」
お客様の会計を終えて、お客様を見送る。
「愛南ちゃん、なかなかいい腕だったよ」
「ありがとうございます」
美容師になってまだ三年ほどだが、まだまだ修行は必要だ。 お客様にもっと喜んでもらえるように、私はこれからも技術をあげていかないとイケないなーとは思う。
「まだこれからだって、思いたいです」
「うん。そうだね」
真坂店長に褒めてもらえることもあるけど、厳しい意見も貰う時がある。 それでも私はまだまだ、伸びしろがあると思っている。
店長もそう言ってくれるから、ありがたい。
「ただいま、裕太さん」
「お帰り、愛南」
その日仕事を終えて帰宅した私。 裕太さんが部屋から出て来て、私を出迎えてくれる。
「ただいま」
「ん」
裕太さんは両手を大きく広げてくる。
「……ん?」
「お帰りのハグ」
裕太さんは両手を広げて笑っている。
「……え? は、ハグ?」
お帰りのハグなんて、いきなりどうしたのだろう……。
「そう、お帰りのハグ。 夫婦のスキンシップってヤツ?」
夫婦のスキンシップ……。
「……うん」