【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
私はそっと、裕太さんの腕の中に飛び込んだ。
「ん、いい子だな」
裕太さんはそっと、私の頭を撫でてくれる。
「……ね、裕太さん」
「ん?」
「裕太さんの腕の中って、暖かいんだね」
裕太さんは本当に優しくて、私にはもったいないくらいの人だ。
「そうか?」
「うん。……暖かい」
夫婦関係ってこんな感じなのか、って思ってる。 まだ夫婦というものがよく分かっていないけど、裕太さんが夫として私を愛してくれようと努力してくれていることは分かるんだ。
「愛南」
名前を呼ばれて返事をした瞬間に、私のおでこに裕太さんはそっとキスをする。
「……ん?」
「お疲れ様の、キス」
「キッ……キスッ」
裕太さんは結婚してから、私に手を出したりはしてない。 それは多分、愛莉のことがあるからかもしれない。
唇にも、キスをしたことはない。
「なんだ? もしかして、唇にしてほしかった?」
「……あ、いえ」
どうなのだろう。キスといえば、やはり唇だけれど。
私はそれを望んでいるのか、と言われると……。
「してもいいのか?唇に」
悪戯な笑みで、そう聞いてくる。