【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
「……お母さん、私……。生き残ってて良かったの?」
「え……?」
私からそう聞いた母親は、驚いたように私を見た。
「死ぬのが愛莉じゃなくて……私なら、良かったのにねっ……」
今更後悔しても、遅いと分かっている。
「何言ってるの……!」
そう言ってお母さんは、私を抱きしめた。
「アンタが生きてたのは、奇跡なんだよ!……愛莉はアンタを守ってくれたんだよ! 必死で愛莉は、アンタを守ってくれたんだよ!?……死んだ方が良かったなんて、言わないで!」
「……お母さんっ……」
「なのにそんなことを言うなんて……。それは、愛莉に失礼だよ!」
そう言ってお母さんは、私の頬を一発だけ叩いた。
「……ごめんなさい……お母さん……」
「いいんだよ。分かってくれたら、それで。……叩いてごめんね」
その日から私は、亡くなった愛莉のためにも、生きることを決めた。
愛莉の分まで生きること、そして幸せになることが、私にとっての使命だと思ったから。
愛莉が幸せになれなかったその分まで、私が愛莉のために幸せを見つけてあげようと、そう思った。
それが愛莉のために、少しでも何かを残せるのならって……。
◇ ◇ ◇