【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
そう問いかけると、裕太さんは「……ダメじゃないよ」と言ってくれる。
「俺も、本当の夫婦になりたいって思ってる」
「裕太……さん」
裕太さんと同じ気持ちだと分かって、素直に嬉しかった。
「俺たちは、お互いの利害が一致したから結婚したかもしれない。 けど……俺は愛南がいてくれて良かったと、心から思ってる」
裕太さんのその言葉は、温かくて優しくて、そしてすごくホッとする。
「愛南が俺を支えてくれるから、俺はこうやって生きているから。……身代わりでもいいと言ってくれた君のその気持ちが、俺を変えてくれたんだ」
裕太さんはどうしてそんなに優しいのだろう。どうして、そんなに嬉しい言葉を言ってくれるのだろう……。
「……裕太さん……っ」
私は涙が出た。裕太さんと気持ちが通じ合ったことが嬉しかったのかもしれない。
でもそれだけじゃない。私が愛莉の身代わりにしてほしいと言ったあの日から、私はどこかで裕太さんに【愛されたい】と願っていたのかもしれない。
自分でも気が付かないうちに、私は欲張りになっていたのかもしれない。
報われない恋をした自分を、どこかで恥じていたのかもしれない。