【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
ニ【再会とプロポーズ】
その事故から半年が経った頃、私は裕太さんとたまたま再会した。
「あ、裕太さん……」
「愛南ちゃん……?」
愛莉が交際していた時、裕太さんとは何回か会っていた。愛莉が裕太さんを家に連れてきていたからだ。
愛莉の葬儀の日以来、裕太さんとは会っていなかった。 それに、合わせる顔すらもなかった。
「大丈夫……?愛南ちゃん」
「……はい」
裕太さんは、私のことを心配しているようだった。
「……裕太さん、あの」
「愛南ちゃん、無事で良かったね」
そう言った裕太さんの言葉が、私にはすごく重く感じた。
「愛南ちゃん……どうしたの?」
「……裕太さん、愛莉のこと……すみませんでした」
裕太さんには、すごく悪いことをしたと思っている。 裕太さんが愛してくれた愛莉を、失わせてしまったこと。
……すごく後悔している。
「愛莉、愛南ちゃんのこと守ったんだってね」
「……え?」
「さすが愛莉、だな。 愛莉は、愛南ちゃんのこと本当に大切だったみたいだから」
裕太さんからそう言われた私は、思わず裕太さんの顔を見た。
「愛莉はいつも、愛南ちゃんのこと大好きだったから」
「……愛莉が?」
愛莉……私も、愛莉のことが大好きだった。