【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜


「もうすぐで着くの?」

「多分もうすぐだよ」

 ええ、一体どこに行くのだろう……?

「あった。 ここだね」

「ん? ここ?」

 あれ……? ここって……?

「裕太さん、ここって……」

「結婚式場だよ」

「結婚……式場?」

 どうして、結婚式場に……?

「愛南……俺たち結婚式を挙げよう」

「……え?」

 結婚式を……挙げる? 

「こうして夫婦になれたんだ。……やっぱり夫婦としての、誓いを立てないか?」

「夫婦としての……誓い?」

 結婚式……。考えたこともなかった。結婚式を挙げるのは、本当なら私ではなかったからだ。
 ウェディングドレスを着れる日が来るなんて……思ってもいなかった。

「愛南は結婚式なんて挙げなくてもいいと言ってたけど、やっぱり俺、愛南にウェディングドレスを着せてあげたいんだ」

「……裕太、さん」

 確かに、結婚式を挙げようと提案されたことは何度かあった。 でもその度に私は、断っていた。
 結婚式を挙げなくても夫婦だからと、そう思っていたからだ。

 だから考えてもいなかった、そんなこと。

「何より俺が、愛南のウェディングドレス姿、見たいと思ってる」

「裕太さん……」
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