【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
九【身代わり夫婦から、本当の夫婦へ】
「愛南、これなんかどう?」
「ええっ、これ?」
結婚式を挙げようと計画を立ててから、私たちはウェディングドレスや式場などを、ネットで探したり、現地に行って決めようとしていた。
「こういうの、似合いそうだ」
「そうかな?」
結婚式を挙げるなんて、あの頃の私は想像もしてなかった。
「愛南はスタイルいいから、Aラインとかが似合いそうだな」
「本当?」
ウェディングドレスか……。ウェディングドレスを着れる日が来るなんて、思ってもなかったな。
本当ならウェディングドレスを先に着るのは、愛莉だったはずだから。
でも愛莉はもういない。だから私は、愛莉のいない寂しさを埋めるように、裕太さんとの結婚を決めた。
裕太さんとは身代わり結婚だったから、そこに愛が生まれるなんて思ってなかったけど、ちゃんと愛は生まれた。
私は幸せになった。 これが愛莉の望んでいた幸せなのかどうかは分からないけど、私にとってこれが幸せだと思えた。
小さなことでも幸せに思えるのは、裕太さんとだからだと思う。
「……愛南? どうかした?」
「え……? あ、ううん。なんでもない」
愛莉は望んでくれるかな、私のウェディングドレス姿?