一途な部長は鈍感部下を溺愛中



「ゆっくり食べなさい」


ほうじ茶を口にしながらそう声をかけてくれた部長に頷き、私も残りをしっかり味わい、そして箸を置くと同時、ずっと考えていたことを口に出した。


「……わ、私たちって、恋人……なんでしょうか」


顔は、上げられなかった。


断罪されるのを待つ咎人ような、叱られるのを身構える子供のような、そんな思いで目を瞑る。


けれど、待てども待てども、うんともすんとも、肯定も否定も聞こえてこない。


「……?」


さすがに無言すぎでは……?

不安になっておずおずと視線を上げると、琥珀の双眸が限界まで見開かれており、やがて大きな手のひらの向こう側に消えていった。


重たく長い息を吐きながら片手で顔を覆った部長は、そのまま項垂れるように俯き、懊悩するような唸り声を上げる。


「そこからか……」


がっくし、とひび割れたフォントを背に負うのが見えるようだった。


そのまま卓上に肘をつき、覆っていた手で前髪をかきあげた部長が、唇を尖らせながらこちらを上目遣いで見上げた。


「もしかしたら、と予想してなかったと言ったら嘘になるけどな……でもまさかな、と思ってたんだよ」


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