一途な部長は鈍感部下を溺愛中


家でしか見られない、黒縁の眼鏡姿にキュンとしながら、こくりと頷く。


「はい。おやすみなさい」


そのまま寝室に向かおうとしたところで、ふと視線を感じた。


視線をあげると、何故か真剣な瞳がこちらをじっと見つめていて、首を傾げる。


「お、おやすみなさい……?」


もしかして挨拶が聞こえなかったのかな? そう思いもう一度口に出してみると、「……ああ」と聖さんは頷いた。やっぱりその眼差しは、やけに真剣なままだったけれど。






簡単なスキンケアを済ませ、髪を乾かして、よし寝るか、とベッドへ潜り込む。


サイドテーブルからリモコンを取って、明かりを落とそうとしたところで、ドアが開いた。


「あれ! 早いですね」


現れたのは当然聖さんで、いつもはお風呂後も少し作業をしてから寝室にくるので驚いてしまった。


聖さんはにこりと微笑むと、ベッドまでやってくる。


そして、私の上に跨るように乗り上げてきた。


「えっ」


無言のまま覆いかぶさってきた彼は、私の顔の横に手をつくようにしてこちらを見下ろしている。私はリモコンを手にしたまま、身動きが取れなくなってしまった。


「ひ、聖さん?」

「おやすみ、なんて言うからまさかとは思ったが……本当に寝ようとしてるとは」

「え、あの……」

「なあ、今日のは一体なんだったんだ?」


聖さんが、私のおでこから頬を包むように撫でる。その感触がくすぐったくて、身体がぴくりと揺れてしまった。


「あんなに可愛くくっついてきたりして、てっきり誘ってるのかと思ってたんだが?」

「さそ……! ち、違います!」


ぶんぶんと首を振って否定したけれど、聖さんはどいてくれない。


「そうか。だが生憎と、俺はずーっとムラムラして仕方なかったんだ。責任は取ってもらうぞ」

「ひゃっ」


ちゅ、と聖さんが顔を埋めるように、首筋に吸いつく。予想もしていなかった展開に動揺しながら、聖さんの肩を押した。けれど、ビクともしない。


こ、これは本気の時の聖さんだ……!


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