一途な部長は鈍感部下を溺愛中

奥に座る松下さん、戸田さんも優しく頷いてくれて、ホッとしながら最奥に座るその人を見る。


ブラインドから射し込む光を受け、黄金色に輝く柔らかい茶色の髪。髪よりも色素の薄い、琥珀色の瞳。

宝石のような瞳を長いまつ毛が縁どり、頬に影を落としている。

秀でた額に、すっと通った鼻筋、薄い唇。均整のとれた顔は、ともすれば感情のない人形のようで。


私たちのやり取りをじっと静かに見ていた美しい瞳が私を捉えて、その薄い唇が開かれる。


「揃ったようだから、ミーティングを始めるぞ」


その言葉を、彼が──東雲（しののめ）部長が、どんな表情で言っていたのか。目を逸らしてしまった私には、分からなかった。


私も横山くんも席に着き、松下さんから資料が配られ定期ミーティングが始まる。


ここ、N.Dream株式会社本社の人事部は、ここに居る六人で構成されている。


私と──五人の、男性で。





「そうだ、佐藤」


ミーティング終わり、コップやプロジェクターを片付けていると、東雲部長に声をかけられ手を止める。


「は、はい」


名指しで呼ばれるとどうしても緊張してしまい、恐る恐る顔を上げると、東雲部長は片眉を下げて苦笑した。