一途な部長は鈍感部下を溺愛中
うんうん唸り、だけどやっぱり上手い言葉が見つからなくて、自分でもわかるほど情けなく眉を下げながらゆかりを見上げる。
すると、ゆかりはやれやれといったようにため息をついた。
「悪かったわよ。あんたの好きな人悪く言って。……でも、瑞稀が恋ねえ。何年振り?」
「何年振り……だろう」
高校生ぶりくらいだろうか。
でも、今までの恋は自覚しても淡いまま、伝えることも出来ずに終わってしまうことばかりだった。……きっと、この恋もそう。
この恋は、どれくらいで忘れられるんだろう。
部長に気付かれず、ゆっくり、じっくりと、あまり痛みを感じず、この恋を忘れられることが出来れば。
「一回玉砕覚悟で告ってみたら?」
「む……無理無理無理無理!」
けろっととんでもない爆弾発言をするゆかりに、首も手も頭も振る。
告白なんか一回もしたこともなければ、されたこともない。
彼氏いない歴=年齢の私には、あまりにもハードルが高い提案だ。大体、玉砕したらそれこそ辛すぎて会社になんて居られない。
「瑞稀、可愛いのにねえ。消極的すぎるのよねー」
「うぅ……」