一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「わ、分かりました……!」
羞恥にそれ以上耐えられず、部長の胸板を軽く押す。
怒涛の展開で気にしている余裕もなかったけれど、さっきからずっと距離が近くて、正直イケメンの供給過多だった。
部長は照れから挙動不審になる私に首を傾げながらも、私の頭をぽんぽんと撫でた。
「無理やり君の気持ちを暴くような形になってしまってごめんな。でも、聞けてよかった」
ふ、と柔らかく微笑んだ部長に胸が締め付けられる。なんと応えればいいのか分からなくて、ただ見つめ返すことしか出来ない。
部長はもう一度私の頭を撫でたあとで、ややバツが悪そうに目を伏せた。
「弁解しておくと、俺は女嫌いなわけではない。人の外見だけで惚れたのなんだのと迫ってくる女が苦手なんだ。ましてや公私混同するような奴は言語道断だ。
君は、俺に色目を使うこともなければ、仕事中に関係の無いことで俺を煩わせることもなかった。だから君が気にすることなんか何一つないんだ。……まあ、君になら色目を使われても一向に構わないんだが」
流し目で言われ、首を千切れんばかりに横に振る。すると部長は、クスッと息を漏らすように笑った。