【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。


高1の夏前。初めてのバイトでこの喫茶店を選んだわたしを教えてくれたのが、当時高3の理人先輩だった。


カッコよくて、優しくて、なんでも卒なくこなす。

それなのに少し意地悪で、初対面から「うさ子」なんてよくわからないあだ名をつけられた。


今年からわたしは高校2年生で、先輩は大学生。


大人の余裕、というやつなのか、大学に入ってからの先輩は意地悪が加速している気がする。

それに加えてカッコよさも増してるし、なんか色気まで出てきて、喫茶店に来る女性客からも人気が現在進行形で急上昇中だ。


「離れてくださいっ」

「えー、どうしよっかな」


見なくてもわかる。


先輩、いま絶対ニヤニヤしてる。


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