【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
うさぎ。つまりは、ペット。
本来ならうさぎはふわふわしてそれはもう可愛い生き物なんだろうけど、現実は残念ながらそんなことはない。
先輩曰く、わたしの反応がいちいち面白い、らしい。
そんなの当たり前だ!と声を大にして言い返したいけど、そこは我慢している。
理人先輩が、好き。大好き。
だからからかってくる先輩の言動にいちいち反応して面白おかしい行動をとってしまうのは仕方ない、と思いたい。
先輩が悪い。先輩がズルい。
うん、そうだ。そういうことにしよう。
「うさ子」
「………」
「おーい、うさちゃーん」
耳元で先輩がわたしを呼ぶ。
ふんっ、振り向かないもんね。
少しくらいわたしだって意地を張りたい。
それでも、先輩はいつもわたしより一枚上手。