【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
ズルいオオカミ
「4番テーブル、ミートドリア1、カルボナーラ1、お願いしまーす」
「こっちホットサンド3もう出来上がるぞー」
今月は、何故だか大忙しだった。
休日はもちろんのこと、平日のこの夜の時間でも、学校や仕事帰りの人たちでかなり賑わっている。
ほとんど記憶にないくらい、わたしはホールを走り回っていた。
「……もう無理、疲れた〜……」
閉店時間、20時。
他のスタッフとバタバタ走り回って、気付いたら終わっていた感覚だった。
「うさ子、まかないどーする?」
ひょこっとキッチンから顔を出した先輩が、ホールで最後の片付けをしていたわたしに尋ねてくれる。
「他のみなさんは?」
「あー、店長は余った飯自分で握って食べてたけど、他は今日いないっぽい」
「え、そうなんですか」