【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。


いつもまかない料理は、基本理人先輩が作ってくれる。


その日によって食べていく人と真っ直ぐ帰るって人がいるけれど、今日は見事にみんな後者らしい。


先輩も疲れてるだろうに、わたしだけ食べていくのもなんだか申し訳ない。


「んー、今日はわたしもいいです!」

「そうか?じゃあ俺だけでも食おうかな」

「えっ」


せっかく断ったのに、まさかの先輩からのセリフに思わず声を出してしまった。


しまった、と思って口を塞いだけどもう遅い。


ふはっと先輩が笑った。

うん、バレてる、完全に。


「食う?」


優しい顔でそう聞いてくれるところ、本当にズルいですよ。


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