【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
観念して素直にコクリと頷くと、先輩はすぐに2つ分のオムライスを持ってきてくれた。
「正直者め」
「う……お恥ずかしい」
コトン、とお皿をカウンターテーブルに置いた先輩は、わたしの隣に席腰掛ける。
クスクス笑う先輩の顔が見られない。
こういうとこが可愛くないんだよなぁ。
そうは思いつつも、しっかり2つ分用意してくれていた先輩に嬉しい気持ちが溢れてしまうのはどうしようもない。
あー、もうズルいなぁ、先輩は。
わたし先輩への気持ちすら、なんだか見透かされていそうで怖くなる。
「……あ、」
オムライスの中身を割って、また嬉しくなった。
卵の上には今日も安定のうさぎのケチャップの絵。
「疲れたときこそシンプルなのが一番美味いだろ」
先輩はそう言ったけど、たぶんそれだけじゃない。