【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
「いっぱい食え食え」
ポン、と頭を撫でられて、心臓が跳ねた。
「……すぐ赤くなるな、うさ子は」
「〜っ、先輩のせいじゃないですか!」
「食うか喋るか赤くなるか、どれかひとつにしろよ」
「そんなの無理です」
ムッと睨んだところで、先輩に勝てないことくらいわかってる。
好きになったら負け。うん、これも先輩のせいだ。
安定にペロリとオムライスを平らげたわたしは、先輩のと2つ分のお皿を手に洗い場へ持っていく。
「先輩はそこでマテです!」
「俺は犬か」
作ってもらったからには、片付けはわたしがやりたい。
こうでも言わないと、先輩のことだから絶対全部やってくれちゃう。
それこそ、「うさ子はマテ」なんて言われそうだ。