【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
ふふん、うさぎはマテ覚えられないんですよー。
それでもあまり待たせるわけにはいかないと、超特急でお皿を洗う。
「お待たせしました〜」
やっと洗い終わって戻ると、スマホをいじっていた先輩がわたしを見て微笑んだ。
「お疲れ。んじゃ帰るか」
「はいっ」
そのふとした表情でさえわたしをキュンとさせるんだから、先輩は恐ろしい。
お店を出ると、先輩は当たり前のようにわたしの家の方向へと歩き出した。
「先輩、わたし1人で帰れますよ」
そうは言ってみても。
「バカ、こんな時間にうさ子1人で帰すわけねーだろ」
先輩が譲ることは、まずない。
平日の夜の時間は、いつも決まって先輩が家まで送ってくれる。
どこまでも優しくてズルい、わたしの好きな人。