【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
「ねぇ、先輩」
「んー?」
隣を歩きながら、なんとなく先輩を呼んでみる。
「先輩は動物の中でなにが好きですか?」
「ふはっ、なんだその質問」
突飛なわたしの問いに、先輩は笑った。
んもう、こっちは真剣に聞いてるのに。
「ちなみに、」
ドキドキする心臓を、必死で抑える。
これ言ったら、先輩、どんな顔するかな。
「……ちなみに、わたしは一番オオカミが好きです」
ピタッと、先輩の足が止まった。
「……ふぅん、そっか」
けどそれは一瞬だけで、先輩はまた歩き出す。
ねぇ、先輩。いまどんな顔してますか。
確認したいのに、なんとなく勇気が出ない。
別に深い意味なんてない。……うん、ない。つもり。
「俺はね、」
先輩が口を開いた。