【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
ポンポンと頭を優しく撫でられる。
思わず足を止めた。
先輩も、止まった。
「悪い、ウソ。ちょっと意地悪だったな」
その言葉で、やっと顔を上げた。
わたしを見下ろしている先輩が、困ったように笑っている。
なんだか無性に泣きたくなった。
「……先輩のバカ」
「うん、ごめん」
「オオカミ好きなの、やっぱナシです」
「ごめんって」
うさ子、と、先輩がもう一度呼ぶ。
「うさ子が好きだよ、俺」
あまりにも優しい表情で、声で、先輩はそう言った。
ブワッといろんな感情が湧き上がってきて、堪えてた涙がついに溢れる。
なんなんですか。
そうやって、いつもいつも先輩は一歩先。