【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
「……っ、知らないんですか。うさぎは寂しがりなんです……!」
「うん、知ってる」
せめてもの照れ隠しで言ったのに、先輩にはやっぱり通用しない。
「だから、」
先輩が、手を広げた。
「おいで、うさ子」
「……ッ」
あぁ、もう。
先輩はもうわかってる。
どうせ、わたしの気持ちなんてバレバレなんだ。
ズルい。
ズルいです、理人先輩。
悔しい、なんて頭の隅で思いながらも、わたしはその腕の中に飛び込こまないという選択肢はない。
「うさ子こそ知らないだろ」
わたしをギュッと抱きしめてくれた先輩が、耳元でポツリと言った。
「オオカミは、一途なんだぞ」