【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
ギュウッと、強く、強く、抱きしめられて。
「───希子、お前が好きだ」
「……っ」
「希子は?」
先輩からの真っ直ぐなその言葉に、わたしが返す想いなんてひとつしかない。
「わ……わたしも。理人先輩が大好きです……!」
そう言うと、クスリと先輩の嬉しそうに笑う声が聞こえた。
先輩。理人先輩。
大好きです。
「先輩」
「ん?」
「名前呼んでくれるの、やっぱたまにでいいです」
「ふはっ、なんだよそれ」
そう言ったら、先輩は呆れたように笑ってた。
だって、いざ何度も呼ばれると恥ずかしくてどうにかなっちゃいそうなんだもん。
けど、わたしのそんな意見なんて先輩には通用しなくて。
「ん、わかった」
「ありが……」
「好きだよ、希子」
「〜〜っ!」
先輩は、やっぱりズルい。
【Fin.】