【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
「大変申し訳ありません。バイトリーダーである自分と店長で対応させていただきます」
わたしの横に並んでくれただけで、こんなにも安心感がある。
「ふんっ、まぁいい。この嬢ちゃんじゃ話になんねぇからな。で?兄さんなら話はわかってんだろ?」
ふんぞりかえる男性に、先輩は「えぇ」と微笑む。
「そちらのパスタに虫が混入していたという件ですよね。完食間近になってからこの大きな虫の存在に気づかれた、と」
「お、おう。そうだ」
含みのある先輩の言葉に、一瞬男性の目が泳いだのをわたしは見逃さなかった。
あ、怪しい……!
わたしで気付いたということは、先輩だって確実に気付いている。
かかった、とばかりに、先輩は早口で男性へと詰め寄った。