【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。
「わたしもオオカミ先輩って呼びますよ!?」
「それ1年以上言い続けてるくせに、俺のことそう呼んだことねぇだろ」
「だって長いし呼びにくいんですもん!」
「おい」
すぐ言い訳をしたわたしに、先輩はふはっと笑う。
こういう笑顔ですらいちいちカッコいいから、困る。
「つか話戻すけどさ。お前、次あの客来たら絶対1人で対応しようとすんなよ」
「はぁい」
「ったく……ホントにわかってんのか?」
ほら、こういう優しいところも、困るよ。
「先輩、ごちそうさまでーす」
「……相変わらず食うの早いな」
ペロリと平らげたお皿を、洗い場まで持っていく。
あぁ、もう少しで今日のわたしの一番幸せな時間が終わってしまう。