【短】恋するうさぎとズルいオオカミ。


「わたしもオオカミ先輩って呼びますよ!?」

「それ1年以上言い続けてるくせに、俺のことそう呼んだことねぇだろ」

「だって長いし呼びにくいんですもん!」

「おい」


すぐ言い訳をしたわたしに、先輩はふはっと笑う。


こういう笑顔ですらいちいちカッコいいから、困る。


「つか話戻すけどさ。お前、次あの客来たら絶対1人で対応しようとすんなよ」

「はぁい」

「ったく……ホントにわかってんのか?」


ほら、こういう優しいところも、困るよ。


「先輩、ごちそうさまでーす」

「……相変わらず食うの早いな」


ペロリと平らげたお皿を、洗い場まで持っていく。


あぁ、もう少しで今日のわたしの一番幸せな時間が終わってしまう。


< 7 / 25 >

この作品をシェア

pagetop