初恋エターナル



「大咲先輩こそ……」


月くんは、私の持っているレジ袋にチラリと視線を注ぎながらも眉間にしわを寄せた。


お、怒ってんの……?


「バカなんスか?今何時だと思ってるんスか」


12時過ぎたら出歩くなって言いましたよね、と私を睨みながら言う。


う……と、1歩後退りをする。


まさか月くんと鉢合わせするなんて。


「えと……ちょっと買い物に……」


あはは……と笑ってみせる。


月くんはそんな私を見て、ちっと舌打ちをした。


え!?舌打ちしたよね、今!


「乗ってください、送ります」


月くんはバイクのエンジンを入れた。


ブォォォ、と大きな音がする。


「え、あ、いや……別に帰れるんだけど」


ここまで歩いてきたんだし……。


「危ないって言ってんスよ、乗れや」


「は、はい……」


ぴしゃりと言われて、うなずく以外なかった。


「あっれぇ、月ぃー?」


……どこからか、月くんを呼ぶ声。


「何してるかと思えば……族ほったらかして女かよぉ〜」


月くんは再び舌打ちをした。


バイクのエンジン音に混じって「めんどくせぇ」って聞こえた気がする……。


声の主の方に目を向けると、男の人3人組がニヤニヤ笑いながら、私と月くんを交互に見やっていた。
< 113 / 262 >

この作品をシェア

pagetop