初恋エターナル
「……なんで兄貴は……いつもいつもそうやって……!」
気づくと視界は天井。
月に胸ぐらをつかまれていた。
「邪魔なんて思ってねぇって言ったろ!ばっかじゃねぇの!?家族の気持ちそんなに大切かよ!じゃあお前が出て行った後の母さんや俺の気持ちはどうなんだよ!」
「うるせー、今は夜中だ。静かにしろよ」
「夜中とかどうでもいいっつーの!答えろクソ兄貴!」
初めて見る、こんなに感情を表に出す月。
どこか大人びていて、遠くの存在に感じた。
「俺は……俺は俳優になって金を稼ぎたかったんだよ」
俺の胸ぐらをつかむ月の腕をやんわりとどかしながら、下を向く。
「自分の夢を叶えてお前らも楽にできる、一石二鳥だろ?」
毎月30万円。
実家に振り込む俺の稼いだお金。
これで母さんが楽に暮らせるなら。
月が笑顔になれるのなら。
そう思って今まで俳優という道をただひたすらに歩んできた。
「……でもな……俺にだって限界はあんだよ……」
月が唾を飲み込む音が聞こえた。