初恋エターナル

3. 現実。





カヤと付き合い始めてから、数週間が過ぎた。



相変わらずカヤはドラマやバラエティ番組に引っ張りだこだし、美湖ちゃんからもよくその話題を聞く。



家にテレビがないからよくわからないけど、ドラマに出演して大きな賞を取ったらしい。



遠くの存在に感じちゃうなぁ……そう思うこともある。



「カヤ、今日は何時に帰ってくるかなぁ」



夕ごはんを作りながらつぶやく。



「……もうすぐ帰ってくるんじゃないすか?昨日もこのくらいでしたし」



「だよね……」



夜の8時。



料理を作る私の隣でしゃべっているのは、カヤの弟の月くん。



最近はカヤが月くんを連れてくることが多くなり、たまにいっしょにごはんを食べたりするんだけど……。



今日はバイトでたまたま会ってそのままの流れでうちに来ることに。



料理を作るのを手伝ってくれているんだ。



「忙しいもんね……」



寂しい、そんな自分の勝手な気持ちは無視することにする。



「……兄貴は何やってんだか……」



大げさにため息をつく月くん。



最初に比べて月くんは、私に色々な表情を見せてくれるようになった。
 


< 172 / 262 >

この作品をシェア

pagetop