初恋エターナル
「いつもごめんな」
仕事で家を出る時、決まってカヤは私の頭をなでながらこう言う。
私はカヤがどんなテレビ番組に出ているのかもわからない。
だから黙って応援するしかないんだ。
「うん、全然大丈夫」
私の口癖。
私も決まった返事をする。
だって……こう言うしかないでしょ……?
私が応援したくて言っているはずなのに……心の中ではこの偽物の笑顔に気づいてほしいと思っている自分がいるんだ。
勘づかれたらカヤが困るだけでしょ。
「んな顔すんな……あーそうだ」
ほら、カヤが困った顔をした。
きっと私が悲しい表情をしていたから。
カヤは私の横をすり抜けてタンスの中をあさる。
何探してるんだろう……そう思ってカヤのもとへ行くと、目の前に差し出されるカヤの腕。
「え……?」
そして自分の腕に感じる金属独特の冷たさ。
「ほら、これでだいじょーぶ」
カヤは額同士をくっつけて優しくキスをする。
私の腕につけられていたもの、それはーー……。
ショッピングモールで私が一目惚れした、あのブレスレットだった。
「じゃーな」
カヤは私とペアのブレスレットをつけた腕をひらひらと振って家を出て行った。
無意識に握りしめていた手が緩んだ気がした……。