初恋エターナル
5. すれ違い。
カヤside
「……ただいま」
静かに玄関の扉を開ける。
家の中が真っ暗だ。
嫌な予感を感じ取りながらもくるみを探す。
あぁ、俺……ダメだな。
あの時のくるみのショックを受けたような……絶望したような表情が頭からこびりついて離れない。
違う、由榴とは付き合ってない。
そう言いたかった。
なのに……。
なのに……!
そんなところまで気が回らなかった俺が悪いんだ。
とにかく、くるみに俺の過去を知られたりしたらどうしよう。その気持ちの方が勝った。
何してるんだ。
そう思いながら寝室の扉を開けると、ベッドの方からかすかな寝息が聞こえてきた。
少しの安堵。
頭の中のどこかでくるみが出ていったりしたらどうしようって、不安だったんだ……。
くるみを起こさないようにベッドに腰掛ける。
電気を消し忘れたのか、明るいままの部屋。
ハッとした。
……泣いた跡。
目尻の横に少しの水滴。
ずっとずっとーー……。
俺が……。
……泣かせてたーー……。