初恋エターナル
『椿ー、新しいドラマの仕事オファー来たけどどうする?』
今でも番組に引っ張りだこな俺。
出れるものならできるだけ出たい。
声をかけてきたマネージャーに、さんきゅ、と軽く言って書類を受け取る。
『恋愛ドラマ 恋仲恋中』
最初に飛び込んできた題名。
それと共に浮かぶ、くるみの姿。
「あー、俺疲れたからやめとくわ」
恋愛ドラマなんて、さらさら出る気ねーよ。
心底そう思いながら再びマネージャーに書類を返す。
「そこをなんとか!ほら、今人気の由榴もいるのよ?椿が出てくれれば視聴率が上がるのよ!」
両手を合わせられる。
由榴。
俺の高校時代の彼女。
いわゆる元カノ、という存在だ。
そいつが出るならなおさら出たくない。
そんなに頼まれても出ねーし、くるみいるんだわ。
そう言いたい。
今回の件だけは絶対に断りたい。
「予定結構あるし……」
「マネージャーの私に任せなさい!」
あー言えばこういう俺のマネージャー。
やばい、もう夜中じゃないか。
最近早く帰れないことに苛立ち衝動的にオッケーしてしまったオファー。
今では後悔しかない。
俺は眠っているくるみの額にキスを落として、再び仕事へ行くーー……。