初恋エターナル




「じゃあまたね?カヤくんのお話聞かせてよ!?絶対だからね!?」



いつものように名残惜しそうにする美湖ちゃんと別れ、帰り道を歩く。



今日も何もない日々が終わろうとしているんだ。



カヤは帰ってくるのが遅くなるだろう。



スマホに連絡は入ってないけどきっとそうだ。



忙しくてスマホを触る暇もないんだよね。



……無理だけはしないでほしいなぁ。



「あ、いたいた!くるみちゃーんっ!」



下を向いて石ころを蹴りながら歩いていると、いつしか聞いたことのある声が私の名前を呼んだ。



透き通った声。



あぁ、会いたくなかったーー……。



「っ、」



「ごめんね、こんなところまで!住んでるのここら辺かなって思って!」



今、私が1番会いたくない人。



由榴さんは、今日もニコニコした笑顔を貼り付けて私にしゃべりかける。



「でね!この前このパスケース落としてったから届けに来たの!」



何も言えない私。



パスケースなんて落としたっけ……?



でもこれは確かに私の……。



由榴さんから自分のパスケースを受け取ってさっさと帰りたい。



でもいつまでたっても由榴さんは私からパスケースを返してくれない。



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