初恋エターナル
な、なんで……。
「1つね、お願いがあるの!」
由榴さんは私のパスケースをぐしゃっと2つに折り曲げた。
「あっ……」
何してるんだこの人はーー……。
「椿くんとね!別れてほしいな!」
「……え……?」
2つに折れ曲がったパスケース。
それは大きな弧を描いて近くの溝に落ちていった。
「あれ?聞こえなかったかな?椿くんと!別れてほしいって言ってるんだよ?」
えへへ、と笑いながら私の肩をポンっと叩く。
「君、相手にされてないのわからないのかな?椿くんの隣に立っていいのはこんな子じゃないんだよ?」
小さな子に教えるように私に微笑みかける由榴さんは、私に恐怖心を覚えさせた。
「椿くんの全ては、私なの。くるみちゃんならわかってくれるよね!頭いいんでしょ?」
体が言うことを聞かない。
まるで蛇に睨まれた蛙のようにカチコチに固まっている。
「じゃ、私は帰るねっ!ばいばい、くるみちゃん!早く別れなよ〜?」
最後に由榴さんは、私に大きく手を振りながら帰って行った。
……別れる?
そんな選択肢なんてあるわけない。