初恋エターナル
「はっ」
月くんは、微かに声をあげて笑った。
それは、初めて見る月くんの感情を移した表情で。
月くん、笑うんだ。
「あんた、面白いっスね」
でもそれは、一瞬のことだった。
月くんは、さっきまでのような無表情に戻る。
「……月くんは、どこに住んでるの?」
「俺はもっとあっちの方っス」
私の家の、さらに奥のようだ。
「えぇ……遠いのに。なんであのファミレス
にしたの?」
私の家からでさえ、結構遠いのに。
「あー……まあ、色々っスかね……っていう
か、あんたも遠いっスよね」
「うん、私はバイト終わった後にいつもスー
パー寄るから……近いところに」
嘘……本当はお給料がすこしでも高いところを選びたかったからだ。
そうじゃないと、食べていけないから。