初恋エターナル



「ごっ、ごめんね!私重かったでしょ!いやぁ、最近食べすぎちゃって……」


あはは、と笑って見せても月くんは何も言わなかった。


……気まずい。


「じゃ、俺帰ります」


そう思った時、月くんが立ち上がった。


「あ、うん。ごめんね、こんな時間に……」


もうとっくに日付は変わっている。


「っス、……早く寝てください」


月くんは、それだけ言い残し出て行った。


早く寝ろ……か。


そういえば、カヤが出て行った時も「ちゃんと寝ろ」みたいなこと言われたっけなぁ。


なんとなく、玄関の扉から出て行く月くんの後ろ姿が……あの1日きりで見たカヤに似ていた。


っ、どうしてこんなに、カヤのことばかり考えてるんだろう。


またカヤが来たら、なんて思ってカヤに貸したスウェットも大切に置いてある。


もう会うことすらないはずなのに。
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