同担拒否でごめんなさい
「……いたた……」

入学式の次の日くらいの出来事だった。私は、お腹が痛くて保健室に向かって居たが、場所がわからずさ迷っていた。

「保健室どこだっけ……」

1人で校舎の中を彷徨くのは、とても不安で怖かった。

「うぅっ……」

痛みがピークに達して、その場に踞る。痛いよ。怖いよ。なんで、先生に聞かなかったんだろう……。涙が溢れてきた私の目の前に、人影があらわれた。

「ねぇ!大丈夫!?」

背が高くて髪が長めでサラサラで、顔がすごく整っている男の子だった。上靴を見ると、緑色だったので2年生ということがわかった。

「1年生!?てことはもしかして保健室行く途中迷った?」

先輩は、屈んで優しく声をかけてくれた。私は痛みで声は出せなかったので、小さく頷いた。

「大丈夫だよ。よくここまで頑張ったね〜。保健室ちょっと遠いけど、もう少し頑張れる?はい、乗って」

そう言いながら私の目の前に大きな背中が現れた。え、乗って!?お、おんぶって事ですか!?

「わ、たし……大丈……夫で……」

先輩にもうしわけなくて、消え入りそうな声で断ろうとする。すると、少しだけ強引に、だけどお腹が痛まないよう優しく持ち上げられた。こ、これって言わゆる……お姫様抱っこ!?

「少しだけ我慢してくれるかな?ごめんね、知らない男なんかに抱っこなんて……ほんとにごめんね」

先輩は、ゆっくりと歩き出しながら申し訳なさそうに謝った。私は謝られるのは違う、と思い首を左右に振った。

「あ、名乗れば知らない男じゃなくなるか!俺、サッカー部2年の早瀬圭です。よろしくね」

そう言って微笑んだ早瀬先輩の笑顔は、本当に眩しかったのを今でも覚えてる。

「ゆうき……みり、です」

ボソッと自分の名前も言ったすぐ後に、保健室に到着した。

「失礼しますー。先生、この子体調悪いみたいで廊下に蹲ってて……」

先輩が先生に色々話してくれて、その後保健室で処置を受けることが出来た。
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