同担拒否でごめんなさい
そんな事は1年前の話。今はもう高校二年生になって、後者の中で迷うことも無くなった。

「ねぇあれ、早瀬先輩じゃない!?」

廊下を一緒に歩いていた友人の咲希に言われてグランドを見ると、そこには友達とふざけあっている早瀬先輩がいた。

「あ、ほんとた……」

咲希は、私が早瀬先輩のことが好きなのを唯一知っている。私の良き相談相手という訳だ。

「去年のあれ以来、先輩と話してないんだっけ?」

咲希の言葉に、心臓がはねる。

「……うん」

私はあの保健室までの道での出来事以来、先輩と話せていない。

「圭ーーー!!」

私たちのいる2階よりの1つ下の階の窓から、甲高い声が聞こえる。

「麻里亜じゃん。どーしたー?」

2人の楽しそうな話し声が聞こえてきて、私は拳をにぎりしめる。早瀬先輩には、今年になってから麻里亜さんという彼女が出来ていた。

「……仲良しだねぇ」

咲希のぼそっと言った言葉に俯いて、窓から離れた。

「大丈夫?」

咲希の問いかけに、小さく頷いてまた歩き出した。先輩、私は今でも先輩が大好きなんですよ。

「同担拒否でごめんなさい」

私は、隣にいる咲希にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。
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