もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
だから、待った。

琴莉が、俺のところに戻ってくるのを。

それまでは、どんなに触れたくても、もっと近づきたくても、俺は我慢し続けた。

バレンタインでさえ、本当は琴莉と過ごしたかった。

琴莉からチョコを貰いたかった。

誘いたくなる気持ちを抑え続けていたんだ。




でも。

こんなことになるなら。

俺は待つんじゃなくて、もっと歩み寄る努力をするべきだった。

そうしたら琴莉が死にかけるなんてことに、ならなかったんじゃないか。

こんな……別れのメモを書かせなくて済んだんじゃないか?



あの血だらけのメモは教えてくれた。

琴莉の俺への気持ちを。

琴莉が俺を諦めようとしていたことも。



そんなこと、させない。

琴莉がこのまま俺から離れていくなんて、もう許さない。

俺は、なんとしても繋ぎ止める。

もう、怖いとか言っていられない。



俺はこの手に、琴莉を取り戻す。

絶対に。
< 112 / 202 >

この作品をシェア

pagetop