もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
俺が何故榎本を呼び出したのか。

一連の流れを説明してから、榎本が最初に発したのは


「で?」


だけだった。

それ以上、何も言おうとしない榎本に、俺は初めて怒りの感情が湧いた。


「お前ふざけんなよ」

「ふざけてんのはどっちよ」

「はあ?」

「探偵ごっこみたいなことして、馬鹿みたい」


榎本は、急に人が変わったかのように俺を睨みつけてきた。


「何?驚いたって顔して。ほんとナオって馬鹿正直」

「何だと……!?」

「そんなんだから、パスワード簡単にバレるんだよ」

「やっぱり認めるのか?」

「認めるも何も、そこまで分かったんでしょう?」


榎本はそう言うと、俺にわざと吹きかけるようなため息をついた。



「そうだよ。あの子のメッセージを消したのは、私。何か文句ある?」



探偵アニメを見て、犯人を追い詰める姿にかっこいいと思ったこともあった。

今俺がしていることは、確かにそれと似ているはずなのに。

俺の気分は最悪だった。
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