もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
全く聞こえないわけじゃない。

近づいて話してくれれば、何を話しているかは聞き取ることはできる。

けれど、ちょっと遠くに行ってしまったり、小声で話されてしまうと、全く聞こえない。

それに、ずっと耳鳴りがする。

ゴーと、電車がトンネルを通り抜ける時、窓から聞こえるあの音が寝るまでずっと続いている状態だ。

そのせいもあるのだろう。

頭がずっと痛くて仕方がない。

涙を流すだけの気力ももうない。

真っ白な部屋の中で、自分が思い通りに動かすことができない体に縛られている私。

何があったのか。

何故自分がこんなことになっているのか。

たったそれだけの状況を理解するために、長い時間が必要だった。

そしてその時間は、私に更なる絶望を与えるには十分過ぎるほどだった。
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