もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
それから俺は、あっという間に病室からつまみ出された。

まるで、餌を求めて彷徨い込んだ蜘蛛を、あっさりと外に
放り出すかのように。

足1本は千切れても


「お前が入ってきたのが悪いんだ」


と、さも当然のことだと言わんばかりに。



「何度言えばわかるの?うちの琴莉に近づかないでとあれほど言ったじゃない!!」

「お母様、落ち着いて」

「看護師さんも、どうしてこんな子を入れたの!?この子のせいで、琴莉は……こんな酷い目に……」

「ほら、お母様、琴莉さん見てますよ」

「そうだわ、琴莉……琴莉!!」



そんなやりとりを看護師としてから、琴莉の母親は俺の方を振り返りもせず、病室に戻っていった。

俺も、琴莉にもう1度会いたかった。

病室に入りたかった。

でも、今度は看護師からも正式にNGが出た。

ここから先は、家族の時間を取り戻す時間だと言われた。




……俺だって、時間を取り戻したい。

できるなら、バレンタインの朝に戻ってでも。
< 155 / 202 >

この作品をシェア

pagetop