もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
今、ケビンはなんと言った?

琴莉と俺が、2度と会えない未来……?

死ぬまで……?


「どういう……ことだ……?」

「言葉の通りさ。バードちゃんとナオは、もうこの先2度と会わない。バードちゃんはこのままナオが知らない場所に行ってしまうんだ。もちろん、何をしているかも分からない。そんな想像をしてみろ」


琴莉が、俺の知らない場所にいる?

何をしているか、俺は……知らない?

それは、俺のアメリカ時代を思い出せば容易に分かる。

気が狂いそうだった。

琴莉の笑顔が見たかった。

琴莉の声が聞きたかった。

琴莉の存在を感じたかった。

俺は、アメリカのどこにいても琴莉を探した。

琴莉がこの場所に偶然現れてくれないか、本気で願った。

何度も。

でも、まだ耐えられたのは、琴莉と俺はまた再会できると信じていたから。

それとまた、同じことが起きるというのか?

そして今度は……。


「バードちゃんはもうナオとは会わない。友達をたくさん作っているかもしれないし、いないかもしれない。一人暮らしをしているかもしれないし、していないかもしれない」

ケビンの言葉は容赦無く続く。

「バードちゃんは、ナオの知らないところで生きるから、ナオは知らなくて済むよな。バードちゃんが不幸になったとしても、きっと幸せだとも信じ続けることができる。それはナオ、お前にとっては幸せなことじゃないか?」

「…………どうして?」

「明らかに不幸だという姿を見せつけられるより、知らないままの方が、幸せなバードちゃんの姿をいつまでも思い浮かべられる」


それのどこが、俺にとって幸せなんだ。

そう反論しようとした時、ケビンが言葉を被せてきた。


「ナオが知らないところで、彼氏ができて、結婚して、その男の子供を産んで幸せそうに笑っているかもしれないな」

「嫌だ!!!」



瞬間的に出た。

何も考えなかった。

考えることはできなかった。

例え、琴莉にとってそれが幸せだったとしても。

俺は、それだけは嫌だった。

どうしても。
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