もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
2.バレンタインの悲劇
これはあなたに贈る、最初で最後のチョコレート
+++——
高校に入学して、間も無く1年になろうとしている2月。
不登校だった中学時代が嘘のように、今の私の生活は穏やかになっている。
別に、クラスで特別仲が良い友人ができたわけではない。
みんな、私のことを佐川さんと呼ぶし、私も誰かを特別な名前で呼ぶわけではない。
でも、私のことを、特別はぶりにすることもない。
淡々と、自分のやるべきことを、自分がいるべき場所でやっているという人達が多かった。
いい意味で、個人主義。
そんな人達が集まる文化に、私はどっぷり浸かっていた。
そんな素晴らしい高校で、私は1つのかけがえのない居場所を見つけた。
今日も、早く授業が終わることをソワソワしながら待つ。
チャイムが鳴った瞬間、私は急いで飛び出す。
カバンにお気に入りのイヤホンを入れて、廊下を駆けていく。
そうして入っていくのは……。
「お疲れ様です!!」
「佐川さん、今日も早いね」
「だって、早く原稿読みの練習をしたくて仕方がなかったんです」
「あはは。すごく熱心な後輩が来てくれて、僕も嬉しいよ」
私の放課後のオアシスは、放送室。
私をこうして迎えてくれるのは、3年の立川樹先輩。
すでに推薦で大学受験を終わらせたらしく、いつもこうして誰よりも早くここにいる。
彼は、今この学校だけでなく、日本の一部の高校生にはちょっとした有名人。
そして私は、彼のおかげでこの放送部に居場所を作ることができた。
私が、アイツのことを思い出さずに済む、唯一の空間であり、時間はまさに、放送部の一員として活動している時。
この時間ができてから、私の心は救われた。
アイツが女子に囲まれて、楽しそうに笑いながら廊下で話している様子を意識しなくて済むのだから。
高校に入学して、間も無く1年になろうとしている2月。
不登校だった中学時代が嘘のように、今の私の生活は穏やかになっている。
別に、クラスで特別仲が良い友人ができたわけではない。
みんな、私のことを佐川さんと呼ぶし、私も誰かを特別な名前で呼ぶわけではない。
でも、私のことを、特別はぶりにすることもない。
淡々と、自分のやるべきことを、自分がいるべき場所でやっているという人達が多かった。
いい意味で、個人主義。
そんな人達が集まる文化に、私はどっぷり浸かっていた。
そんな素晴らしい高校で、私は1つのかけがえのない居場所を見つけた。
今日も、早く授業が終わることをソワソワしながら待つ。
チャイムが鳴った瞬間、私は急いで飛び出す。
カバンにお気に入りのイヤホンを入れて、廊下を駆けていく。
そうして入っていくのは……。
「お疲れ様です!!」
「佐川さん、今日も早いね」
「だって、早く原稿読みの練習をしたくて仕方がなかったんです」
「あはは。すごく熱心な後輩が来てくれて、僕も嬉しいよ」
私の放課後のオアシスは、放送室。
私をこうして迎えてくれるのは、3年の立川樹先輩。
すでに推薦で大学受験を終わらせたらしく、いつもこうして誰よりも早くここにいる。
彼は、今この学校だけでなく、日本の一部の高校生にはちょっとした有名人。
そして私は、彼のおかげでこの放送部に居場所を作ることができた。
私が、アイツのことを思い出さずに済む、唯一の空間であり、時間はまさに、放送部の一員として活動している時。
この時間ができてから、私の心は救われた。
アイツが女子に囲まれて、楽しそうに笑いながら廊下で話している様子を意識しなくて済むのだから。