もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
「こーとちゃん!」


ある日の朝、私の部屋の窓からアイツの声が聞こえた。

何だろう?と思って外を見て私は驚いた。

折り紙で作った赤いとさかと黄色いくちばしをつけたアイツが、私に手を振っていた。


「ナオくん!?」

「見て!俺、ニワトリになったよ!」


何でニワトリになったんだろう?と不思議に思った。

でも、コケコケっと鳴き真似をするアイツがおかしくて、私は久しぶりにたくさん笑った。


「ねえ!一緒に学校行こう!」


アイツはニコニコと楽しそうに私を呼ぶから、私も釣られて


「行く!」


と言った。それを見ていた母親は、泣きながら私にランドセルを背負わせた。

久しぶりのランドセルはやっぱり重かったけど、心は軽かった。

ニワトリというあだ名は結局しばらくは続いた。

けれど、この思い出があったから、ニワトリと呼ばれても悲しくならなかった。

この日から、私にとってアイツは、隣の家にいるお兄ちゃんから特別な男の子になっていた。
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