よるの数だけ 守ってもらった


 ・


「えー、この前から話している鳥の死骸の件、まだ犯人は見つかっていません。何か知っていることや気づいたことがありましたら先生や警察に相談して下さい」



口ぶり的に、また新しい死骸が見つかったのだろう。



意外と見つかるもんだなあ。

だったら、轢き逃げ犯もさっさと見つけてくれたらいいのに。


「それから、鳥羽。この後職員室へ来なさい」

「……ハーイ」


視界の隅で如月初雪がこっちを振り返ったのがわかった。

べつに、何もかも、どうだっていいけれど。



「何かやらかしたの?」

「そらに限ってないでしょー」


やらかしまくりだよ。
みんなの噂の的とは付き合ってもいないのにキスをするし、別れた元彼が落ちぶれているのを心のなかで拠り所にしているし、みんなに、最大の秘密がある。秘密にしているわけでもないけどね。



「鳥羽、なんで部活に出ない?」


如月初雪は違うことを浮かべていただろうけれど、担任の話の内容は予想通りだった。


「先生、わたし、中学から高跳びやってたんです。休みもなくずーっと練習して、大会で記録出して…って。だから入院期間中にはじめて長く休んだんですよね。そうしたらべつのこともやってみたい気持ちになっちゃって。だから、高跳びはもう、やめたんです」


休んでいるわけじゃない。

やめたんだ。もう、やめたの。


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