よるの数だけ 守ってもらった
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生臭い。
生温い。
如月初雪を連れてきた雪とは大違いな赤色を見て、涙が頬を伝った。─── ような気がしただけで、そこには何もなくて、手のひらに付いていた血液が代わりに付いた。臭い。
と或るいのちの容れモノだったそれのどこかを徐に掴み草叢に捨てた。
2日後にはあれも見つかるんだろうなあ。
わたしは、いつ見つかるかな。
今もあの時も何もかも夢なら良いのに。
そうしたらこんな暗闇なことだって納得がいく。
学校から見える川まで行くと、いつもより流れが強かった。
あの容れものから切り取った破片を放り込む。
「また殺したの」
「ねえ、きみは、怪しい人物を何度も見かけてるのにだれかに言いつけないの?」
辺りが暗いときみは他人と変わらない姿をしているように見える。
「……手、洗いに行こう」
持っていたハンカチでわたしの頬を拭いながらつぶやかれた、温い言葉。
「うん。臭いもんね、汚いし。へんな菌とかいそうじゃない?ははっ。ビョーキになっちゃう。ははっ。まあそうなってもいいけど…ははっ。気持ち悪いねー」
「…………」
暗闇だ、とか、言い訳にもならないことを頭のなかでぐるぐるぐるぐる。
──── ここ3か月、この町では鳥の死骸が多く発見されている。
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