よるの数だけ 守ってもらった



「だから燃やしたりしてたんだけどだんだんそれも面倒になってきて最近は川に捨てるだけにしてるの。まあ、それで如月初雪に見つかっちゃったんだけどね」



真夜中にこんなところで何してるんだか。


べつにバレないようにしているわけじゃない。いつ罪が見つかって裁かれても仕方ないかなって思ってる。

だけど今のところは、如月初雪だけ。


このひとだけが わたしのすべて を知っている。




「今日はやらなかったんだね。もうやめたの?」


使い物にならないホルマリンの中の破片は、まるでわたしの、あの時の脚みたい。


「ははっ。やめたわけじゃないけど…」



いっそこの翼みたいに切り落とせば良かった。



治せるよって簡単に医者は言った。

治ってるんでしょうってみんなも言う。


わかってるよ。歩けるし、走れるし、ちゃんと跳べる。ふつうに。ふつう。フツウ。これがわたしの、当たり前にあった翼。



「鳥はもういいの」



これから先は今までと同じじゃ晴れない。


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